トトがしゃべった日 (日曜日)

「今日も休みなの?」
トトが話し掛けてきた。

「そうそう、だからゆっくり寝てていいの。腹減ったか?」
「うん、ちょっと。」

「では、高級猫缶だ!うっまいぞー」
「うん、おいしい」

どうも、しゃべり方が大人しい。何か想うところでもあるのか?

今日は部屋の掃除と洗濯をしなければ。
一週間経つと、結構ごみもたまるもんだな。
引き出しから出したごみ袋を広げると、トトが中に飛び込んだ。

「こらこら! これはごみを捨てるための袋なんだからな。」
「だって、暖かいし、いいにおいだし、つい…」
「いいにおいなのか?わからんなー。そういえば、お前ダンボールのにおいも好きだしな」
「うん」

トトを引っ張り出し、ごみをぶち込んでいく。
部屋はすっかり綺麗になった。
あとは、洗濯物を洗濯機にぶち込んでスイッチオン…と。

その後、トトと雑談をしていると、あっと言う間に夜になった。
「もうこんな時間か〜。飯食うか?」
「うん」

また雑談をし、寝る時間になった。
一日中猫とお話をしていました、なんて言うと変なやつだと思われるだろうな。
ま、楽しいからいっか。

「んじゃ、そろそろ寝るか。もうすぐ12時だ」
「あのね、今日で終わりなの。」
「何が?」
「一週間だけの魔法なの。今日で魔法が終わるの」
「…しゃべれなくなるってことか?ちょ、ちょっと待て!」
「なんだか、色々話できて楽しかった。また話出来るといいね」
「お、おい、まだ話したいことがいっぱい…」
「じゃ、これからもよろしくね」

12時。
「にゃあ。」
「お、おいトト…何ふざけてんだ? ちょっと待てよ!」
「にゃ〜〜」
「…トト…。」
「うにゃあ」
「トト…俺の方こそ、これからもよろしく、な」
だがトトは答えず、ごろごろと喉を鳴らすだけだった。


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