スノボエピソード5

<スノボスクールで・・・>

前回、命の危機を感じた次の日の話である。
このときは1週間ばかり雪山に滞在していたのだ。

前回の失敗を反省し、恐ろしい事態が起きないうちに、スクールに入ることにした。
スクールは午後からだ。ちょいとダサダサのゼッケンをつけて望まなければならない。
リラックスするために飲酒して集合場所に行った。
センセーというかインストラクターが集合場所にいて、スノボのスクールの人集まってくださーい、と
叫んでいた。
ほいほい、と近寄って、よろしくお願いします、と挨拶をした後、他のメンバーを待ったが
一向に集まらない。見ると、ボードを持ってゼッケンをつけた、明らかにスクールのメンバーが
遠巻きにこちらを見ている。
なにやっとんじゃい、さっさと集まらんと時間がもったいないじゃろが、と思いながら
メンバーらしき人〔3人〕に
「集合場所こっちみたいですよー」
と声をかけて回った。酔っ払いのなせる馴れ馴れしさかも。
メンバーは、
1)ウルトラマンタイプのサングラス着用のいかつそうな兄ちゃん
2)高校生の女の子
3)なんか全体的に表情の緩んだ平和そうな女の子
そして、私だ。

練習内容は、前半は足で斜面を登ってボード着用して滑る練習をしていた。
いやはや、斜面のぼりがきついのなんの。酔いが覚めた。というか、全部汗になって出たような感じだ。
全体的にはターンが出来るかできないかくらいのレベルだ。
私も単発ターンは出来るようになっていたが、まあちょうどいいレベルだ。
ウルトラマンは口ばっかり達者で、しきりにボード自慢をしていた。うるさい。
高校生はスキーだったら出来るのに、を連発していた。そのままほっとくと、スキーを持ってきて
自分はスキーならうまいんだ!ということを証明しそうな勢いだった。
緩んだ女の子〔変な略し方するな!〕は、ついーッと滑ってぺたんとしりもち、の連続でマイペースだった。
その後、リフトに乗って上から滑ってターン!という練習を何度もした。
その結果、私は2連続ターンが出来るようになっていた。
今までは単発ターンのみだったので、これは大きい。攻撃力2倍だ。いや、別に攻撃するわけじゃないが。
そうこうしてるうちにスクールが終わった。

終わったあと、緩んだ女の子に、一緒に滑りませんか、と声をかけた。
私にしては大胆な行動だった。酔いが残っていたのかも知れない。

友達と来てるので、そのこたちといっしょで良かったら、ということだった。
合流。お友達は2人、緩んだ子を入れて3人だ。
名前は3人が3人とも良くある名前で、誰が誰だったかさっぱり覚えられなかった。
代わりに私の中で適当なニックネームをつけた。〔本人にはもちろん非公表だ〕

背の高いリーダー格っぽい人が・・リーダー〔そのまんまだなあ・・〕
顔のきりっとした賢そうな人が・・ブレイン〔これもそのままか・・〕
表情のゆるんだ子が・・のほほん〔これも見たままだ・・〕

リーダーだけスキーで、あとの2人がスノボだ。
みんな地元の会社仲間なんだそうだ。
リーダーはスピードこそ出さないが、安定した走りを見せていた。ブレインも時々転ぶが
うまいこと滑っていく。私よりもうまい。ちぇっ。
のほほんは、何度も転びながらもめげずに滑っていく。
 
そんなこんなで夕方になり、今まで山の上の方の小さなゲレンデでちょこちょこ滑ってたのが、
いっきに下まで降りようということになった。
リーダーおよびブレインは、特に何事もなく滑っていったが、のほほんは連続10m程度しか
滑れないため苦戦していた。気がつくと周りに人がぜんぜんいなくなり、
警備員というか救助隊か?ゲレンデ見回ってる人が降りてきて、
「はやく戻らないと暗くなって危ないよー。じゃーねー」
といって降りていった。その後には誰も降りてこないようだ。

すぐに暗くなった。このとき、私の頭の中ではひとつの計画が立てられていた。
宿に戻って飯食ったら、この3人組と合流して楽しく飲酒しようと。
だが、あんまり遅くなると連れ達が騒ぎ出すかも知れない。
捜索願でも出されたらしゃれにならない。仕方ない、ここは先に帰って、あとで合流するか。
「仲間に何も言ってないんで、とりあえず先に帰ります。あとで連絡とりたいんですがー」
宿の名前と部屋番号を教えてもらおうと思ったが、
「えー、なんて宿だっけー」
「人づてに予約したからー」
ピンチ。しかし私は宿に戻らねば。とりあえず私の宿泊先の宿名および部屋番号を
告げ、先に帰ったのだった。

宿に戻ると部屋に仲間たちがいた。疲れているらしく、だらだらしている。
「ごめんごめん、遅くなって」というと、
連れの一人のNしむらが
「なんや、もっとゆっくり滑ってきてもよかったのに」
と言った。な、なにおう!私はそのときの状況を伝え、自分がいかに誠実であるかを
アピールした。するとNしむらは
「まあ、向こうから電話かかってくるんやったらええやん。そんときは俺も連れてってな」
ま、まあいい。電話を待とう。
さっさと飯を食い、そわそわしていると、宿の館内放送で私の名前が呼ばれた。
フロントに来てくれということだ。
よっしゃあ電話だ!寝転んでいた私は跳ね起きた。
Nしむら以外の仲間がびっくりするのもかまわず、フロントへダーッシュ!
フロント到着!
電話電話!
ところが、フロントのおっさんに告げられた言葉は
「帰りのバスの時間が変更になったってFAX届いてます。どうぞ」
だった。・・・・こんなややこしい時間にFAXすなっ!

その後、待てど暮らせど3人組からの連絡はなく、私は自分の詰めの甘さを反省したのだった。


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