スノボエピソード6

<必殺 ブルドーザクラッシュ>

私のスノボテクもそれなりに上達し、中級コースくらいならなんとか降りていけるように
なっていた。そんな折、妹とその仲間たちと一緒に雪山に行くことになった。
私の方は例によってNしむらとその後輩である。
一応私も、Nしむら達の手前、妹には「なるべくかわいい子を連れてきてくれ」と
お願いしておいた。
まあ、女性が言う「かわいい子」は当てにならないことが多いが、一応言っておくに
越したことはない。
妹の話では友達を2人連れていくとのことだった。

私は東京に住んでおり、妹とNしむらは関西にすんでいる。
雪山で合流しようということになった。
夜行バスに乗り、雪山の集合場所〔宿泊先のロビー〕に向かった。
妹発見。Nしむら達の姿は見えない。
ふと、妹の横に大きな物体があるのに気がついた。
大きな物体は凄い勢いでジュースを飲み干していた。
やや驚いたが気を取りなおして、妹に「おー」と声をかけた。
いいながら、嫌な予感で頭がいっぱいになっていたが、
妹に「こちら後輩のxxちゃん」と紹介されて予感が現実になった。
名前は忘れてしまったので、以降「かばさん」と呼ぶことにする。
・・まあいい。おもしろい奴ならそれでよし。
ところで、もう一人は?と聞くと「捻挫してこられなくなった」とのことだった。
Nしむら達はゲレンデで滑っているらしい。なるほど。逃げたな。

とりあえず着替えた後、Nしむら達と合流し、一緒に滑ることにした。
妹とかばさんはスノボ初級者〔何度か滑ったことはあるらしい〕とのことで、
じゃあ、初級者コースをゆっくり行こうということになった。
私はすいすいーっと軽く滑っていく。ふふふ、今までの練習の賜物だ。
Nしむら達は例によってスキーなので、苦も無く降りてくる。
ほんの10mばかり降りたところで私達は、妹とかばさんが降りてくるのを待った。
妹は何度か転びながらもなんとか降りてきた。
そしてかばさん出発!1mくらい滑ったところで転んだ。
まあ、最初のうちはそんなもんさ。私もそうだったのだ。練習あるのみだ。
かばさんは起き上がらなかった。シリから転んだので、脳震盪とかいうこともない。
足をひねった様子もないようだ。
はて。どうしたのかな。5分ほどしてむっくり立ちあがり、また1mくらいで転んだ。
また5分ほど立ちあがらない。すでに疲れたという顔をしている。
ちょっとまて、それじゃあ10m滑るのに50分かかるじゃあないか。

妹が気を効かせて、兄ちゃん達先に行って、と言った。
じゃあ、とりあえず後で合流しようということになり、同じゲレンデを3,4回滑った。

さて、ゲレンデの中ほどに妹とかばさんを発見したので、そろそろ合流しようかと思い、
彼女らの5,6mほど先に止まった。私もちょっと座り込んで休憩だ。
ちゃんとゲレンデのはじっこに座っているので、他の人の邪魔になることはない。

少しして、妹が私の側に滑り降りてきた。
そして。山側に背を向けていた私めがけて、何者かが凄い勢いで向かってくるのを感じた。
振り向くと、かばさんがこちらに向かって滑り降りてくるところだった。
うわあああ、と叫びながらボードを横にしてブレーキの体勢に入っている。
凄い雪煙をあげながら、かばさんは私の背中から10cmほどのところで止まった。
必殺 ブルドーザクラッシュ。
もう少しで背骨を折られるところだった私は、心の中で冷静に技に名前をつけていた。
「そういうことはもっとうまくなってからやれ!」という意味の言葉をやんわり伝えたが、
かばさんは冗談、冗談、と笑っていた。冗談で背骨折られてたまるか。

身の危険を感じた私は、かばさんから離れて滑ることにした。
その後、妹たちと合流したのは宿の前だったが、
妹からも、「あの子根性無いから、一度転んだらなかなか起き上がらへんねん」等の
愚痴をこぼされた。私に言われてもな・・。

その後、かばさんについては
「さっさと起き上がれと妹がキレた事件」
「私をお兄ちゃんと呼ぶな事件」
「かばさんがふてくされたのでほったらかしにした事件」
等があるのだが、あまりスノボには関係ないため割愛させていただく。

非常に色々なものを学んだスノボ旅行だった。


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